内容証明で家賃値上げ請求
賃貸借契約では、民法の規定が適用されますが、賃貸借契約の中でも、建物の賃貸借契約については、借地借家法が民法より優先されて適用されます。
借地借家法では、家賃の値上げをしたければ、値上げの通知を出すよう、契約の更新をしたくなければ、あらかじめ更新しないという通知を出すよう定められています。
家賃の額は、賃貸借契約によって決められますが、経済事情の変動や近傍同種の家賃に比べて家賃の額が不相当となったとき、契約当事者は、家賃の増減を請求することができる(借地借家法三十二条1項)とされています。
しかし、内容証明郵便で家賃値上げの請求をしたからといって、借主が納得することが前提条件になります。
結局は話し合いになるのですが、話し合いで決まらない場合は、貸主は賃料請求の増額の調停を申し立てることになるでしょう。
*、ただ、内容証明郵便の心理的圧力の効果はあるかもしれません。
借主は家賃値上げの請求に納得できないときには、自分が適正と思う額を内容証明郵便で通知します。
貸主がその金額で納得がいけばよいのですが、その金額では受け取らないという場合には、借主は自分で適正と思った額を、法務局に供託しなければなりません。
適正だと思った金額を供託しておけば、家賃を支払ったことになり、家賃不払いを理由に契約解除されることはありません。
借地借家法では、借家人の保護規定がいくつかありますが、家賃の支払いを怠ると保護されなくなります。
借家人が家賃を支払わない場合には、家主は未払いの家賃について、相当の期間を定めて支払いの請求をし、それでも支払わない場合には、賃貸借契約を解除できることとなっています。(民法541条)
家賃の支払いを請求する場合には賃貸借契約に基づく必要があります。
家賃を口頭で請求しても支払わない場合には、内容証明郵便で請求しましょう。
内容証明郵便にする場合
・滞納している家賃を明らかにすること
・相当の猶予期間をつけること(例、本通知到達後7日以内に・・・)
・支払いに応じないときには、契約解除する旨を記載すること
・目的の建物を特定すること
建物の所在、家屋番号、種類、構造、床面積などの表示を記載する(建物の登記簿謄本)
借家人から家賃の支払いがなければ、賃貸借契約を解除でき、貸していた建物の明け渡しを請求することができます。
相当の猶予期間を定めて支払いを請求する必要があります。
ただ、土地建物の賃貸借契約では、賃料滞納のために当事者間の信頼関係が破壊されたといえる程度になっていないと、契約の解除は認められないのが現状なのです。
信頼関係の破壊とは賃料滞納の状況や賃貸人と賃借人との関係などを総合的に判断していくわけです。
例えば、賃貸借契約書に「賃借人が1か月分以上賃料の支払いを怠ったとき、賃貸人はなんらの通知催告をせず、直ちに本契約を解除することができる」という条項があったとします。
では、1ヶ月の滞納で「信頼関係の破壊」となるのか?
おそらくならず、家賃の滞納が3か月分ぐらいになってからだと考えられます。
ただ、1ヶ月分の滞納であっても、内容証明郵便によって家賃請求と契約解除請求を行い、それでも支払いがない場合には、「信頼関係の破壊」となるのではないのでしょうか。
*、契約解除すると滞納分の家賃は?
明け渡しの日までの家賃を請求することができます。
法的にいうと、契約解除までは家賃の請求になりますが、契約解除後は家賃と同額の損害金の請求となります。
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