交通事故の損害賠償の請求先とは
<損害賠償の請求先>
交通事故では、加害者は一人だけだとは限りません。
例えば車同士の追突で、巻き添えになった歩行者がいる場合や、交通事故の治療中に医療ミスで症状が悪化する場合などがあります。
このような場合には、その被害者に対して共同不法行為者として共同で損害賠償責任を負うことになります。
また、加害者が業務中に事故を起こした場合は加害者の雇主が「使用者」として、借りた車で事故を起こした場合は車の所有者が「運行供用者」として、事故の責任を加害者と連帯して負うことになります。
このような場合、被害者は損害の全てを一人に請求することも可能ですし、加害者全員に損害分を分担させることもできます。
通勤中に個人所有の車で事故を起こした場合でも、普段からその車を営業で使用し、会社もそれを認めてガソリン代を負担するなど、会社と車のあいだに濃密な関係があるときは「運行供用者」として会社にも責任があると認められた判例があります。
<好意同乗の損害賠償>
被害者が加害車両に友人として同乗していた場合には、法律用語で好意同乗といいます。
好意同乗では、運転者に対して被害者に次のような落ち度がなければ、損害賠償を減額なしに請求できます。
◇好意同乗(被害者)が運転を支配していた
◇運転者の危険な運転を容認または助長していた
◇運転者が飲酒していることを容認または助長していた
◇運転者が無免許であることを承知していた
◇運転者の過労を承知していた(深夜ドライブを、被害者も共同で計画していたなど)
◇その他の落ち度(危険な座り方、ヘルメット不着用、道案内怠慢などによる被害拡大など)
<使用者と運行共用者の賠償責任>
状況によって交通事故の民事上の責任を負うのは加害車両の運転者だけではありません。
業務上の事故(使用者)や車の所有者が違う(運行共用者)場合には、損害賠償責任が生じます。
◇加害者が業務中であった場合
雇主も「使用者」責任を負うことになり、被害者は損害賠償を請求できます。
加害者がアルバイトやパートタイマーであっても、また、正式な労働契約を結んでいなくても指揮監督関係にあれば使用者責任を負うことになります。
◇事故を起こした車の運転者と車の所有者が違う場合など
運行共用者も責任を負うことになります。
この「運行供用者」とは自賠法で「自己のために自動車を運行の用に供する者」と定義されており、一般的には車の所有者や車を使用する権利を持つ人のことをいいます。
加害者に支払い能力がない場合には「使用者」や「運行供用者」に損害賠償を請求できます。
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