逸失利益とは
<死亡による逸失利益>
死亡による逸失利益とは、被害者が生きていれば得られたであろう収入をいいます。
逸失利益は、死亡時の年齢と就労可能年数、収入、性別、一家の支柱を担っていたか否かなどの条件から算定して加害者に請求します。
全額ではなく当該機関の本人生活費と中間利息を引いた額になります。
生活控除率は定額化されています。
税金は控除しません。
◇無職者や若年の被害者は原則として賃金センサスの全年齢平均賃金または学歴別平均賃金をもとに基礎収入を算定します。
有識者は事故前の実収入をもとに算定します。
◇中間利息の控除方法は原則として年5%のライプニッツ方式を採用します。
<サラリーマンの逸失利益>
サラリーマンの逸失利益算出法は、原則として事故前の現実収入から算定します。
◇給与
基本給、歩合給、各種手当や賞与などです。
社会保険料や所得税控除前の額を基準にします。
◇将来の昇給
給与規定が確立されている大企業や公務員においては考慮されます。
◇ベースアップ
不確定要素のため請求は困難です。
◇退職金
事故死亡時に実際に支給された退職金と、定年まで勤めた場合の金額との差額を請求できます。
◇恩給や退職年金・障害年金など
請求できますが、遺族年金は受給者本人を扶助する目的のものですので、被害者が生前もらっていた分を遺族が請求できるかはわかりません。
◇役員報酬
労働対価部分についてのみ認められますが、功労・配当部分が遺族に引き継がれない場合はそれらも逸失利益になります。
<自営業の逸失利益>
自営業・自由業の逸失利益の算出法は、前年度の確定申告を算定基礎とし、年度による格差は算定対象期間を拡大することで調整します。
個人事業主で飲食店や農業などに多い家族経営の場合は、被害者本人の貢献のほかに資本利得や家族の労務提供などの要素があり、商売の様態や死亡者の担っていた役割などを検証した上で、被害者の寄与率何%と認定することになります。
<主婦の逸失利益>
主婦の逸失利益の算出法は、専業主婦であるなら賃金センサス全年齢平均賃金にのっとり、有職の場合は賃金センサスと現実収入の多いほうを基礎とします。
これらの方法で算出した、生きていたら得たであろう収入額からその間の生活費などを控除した金額が、加害者に請求する賠償金額になります。
賃金センサスは、事故発生時に最新のものが入手できない場合は、算定する時点で最新のものを使います。
<幼児・学生の逸失利益>
まだ職についていない学生や、就学前の幼児の死亡による逸失利益の算出方法は次のようになります。
逸失利益=賃金センサス全年齢平均賃金+ライプニッツ式係数
逸失利益は胎児死亡や死産の場合も認められます。
また、死亡被害者が女児の場合は平均給与額に家事労働分を加算したり、生活費控除率を男児より低めにしたりする場合もありますが、これは男女間の賃金格差を是正する為です。
就労年齢に達するまでの養育費は控除しないことになっています。
<失業者・外国人の逸失利益>
失業者・外国人の逸失利益の算出方法は次のようになります。
◇失業者
事故当時に就労意欲と職に就ける能力をもっていたと認められれば逸失利益を請求することができます。
賃金センサス産業計、企業規模計、学歴計の男子または女子を基準に算定します。
就職内定中なら内定先の予定年収を適用し、場合によっては失業前の実収入を考慮します。
◇外国人
日本とその国の生活水準の違いや、どのような在留資格で日本滞在中だったのかなどを考慮して算定します。
●永住者としての在留資格
ほぼ日本人と同等に算定されます。
●就労者としての在留資格
日本で得ていた収入の実績から算定します。
●観光・商用などで滞在中
本国の収入額から算定します。
●不法就労者・密入国者
事故後数年は日本での収入から、以後は本国での収入から算定します。
なお、外国人が相手の場合、示談が決裂すると国際裁判になります。
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