抵当権の効力とは
【抵当権の効力】
<相談内容>
抵当権は、家屋や敷地の家具や庭の設置物にも影響するのですか?
<返答>
民法では、抵当権の効力は、抵当権の目的物たる不動産に付加してこれと一体をなす物に及ぶとあるため、「付加して一体をなす物」は当然敷地や住宅と共に競売されることになります。
また、民法では、「不動産に従として付合した物」という規定があり、この「従として付合した物」というのが、付加して一体をなす物になります。
ですので、敷地の周囲にある石垣や植え込みなどは、敷地に「従として付合した物」であるため、当然敷地と共に競売されます。
しかし、敷地内の石灯篭や住宅内の畳、襖、家具などは、従として付合した物ではありません。
これは、民法でいう「従物」にあたります。
「従物は主物の処分に従う」と定めています。
判例では、これらの物件は抵当権設定当時、すでに敷地内や住宅内にあった場合は、抵当権の効力はこれらの物件にも及ぶとされます。
【抵当権のついた土地上の樹木】
<相談内容>
土地と家屋に抵当権を設定してお金を貸しています。
その土地の上にはたくさんの檜の木が植えてあります。
債務者がこれを伐採しているのですが、これら木には抵当権の効力は及ばないのですか?
<返答>
法律上、樹木は土地の本質的な構成部分として、土地と同一に
取り扱われることになっています。
庭に植えてある樹木を別に扱うとの特約をしていない限り、これらも土地と同様に抵当権の目的となり、抵当権の効力が及ぶとされています。
判例も、抵当権を設定した土地にある樹木が債務者の所有で、とくに樹木だけを抵当権の目的から除外するという特約がない以上、樹木は土地の所有権に包括され、抵当権の効力はその樹木にも当然及ぶとされています。
抵当権は、目的物の交換価値から優先的に弁済を受けることを内容としている権利だから、この内容が侵害された時は誰に対しても、この侵害の排除を請求することができます。
具体的には、裁判所に立木伐採搬出禁止の仮処分を申請し、仮処分決定により、それを阻止することになります。
【土地の権利証の紛失】
<相談内容>
土地の権利証をなくしてしまったのですが、権利証をなくしたときには、その土地を担保に入れることはできないですか?
<返答>
権利証は、正しくは登記済証といって、不動産について所有権を取得した時に、登記所に提出した書類の一部分が登記済の証明印を押されて戻ってきたもので、一種の証明書にすぎません。
従来は登記するときに権利証がない場合は、保証書を作って登記をすることができましたが、新不動産登記法では保証書の制度を廃止して、新たな新事前通知制度を設けたので、保証書を利用して登記をすることができなくなりました。
この事前通知制度は、登記識別情報を提供すべき場合で、登記識別情報を提供できない時は、登記義務者に対し、当該申請があったことおよび当該申請内容が真実であると思慮すべき時は、一定の期間内にその旨を申し出すべきことを通知する制度です。
この制度は、所有権に関する登記のほか所有権以外に関する登記申請についても適用されるので、権利証を紛失したときの担保差し入れについても、新事前通知制度が適用される。
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