家の焼失で借地権は消滅する?
【家の焼失で借地権は】
<相談内容>
借地上の家が火事によって焼けてしまうと、借地権は消滅するのですか?
<返答>
借地法では、「建物が期間満了前に朽廃したときは借地権は消滅する」と規定していますが、ここでの朽廃とは自然になくなってしまうこととされています。
したがって、火災による焼失は含まれず、火災の場合は建物の種類や期間の定めの有無によって決まっている借地契約期間の残っている部分について、借地権は有効に存続します。
借地人は自由に借地の上に建物を新築することができます。
また、地主が焼け跡の新築について黙って見逃していれば、建物が焼けた時に契約が更新されたとして、改めてその時から20年なり30年の期間が開始することになります。
もし、地主が焼け跡の新築について異議を申し立てたとすると更新はなく、建物滅失の日から残りの期間が進行します。
建物について登記があれば、地主が変わっても借地権を行使できますが、火災で建物を焼失してしまえば建物の所有権はなくなり、その登記も基礎を失うことになり、新地主に対する対抗力もなくなるという説が有力です。
ただし、新地主が新築についてただちに異議を述べないと契約は更新されたことになります。
【借地上の建物の増改築】
<相談内容>
借地上の家を増改築したいにですが、無断で借地上の建物を増改築することはできるのですか?
<返答>
土地の賃貸借契約で、無断増改築禁止の特約がないときには、賃借人が、借地上の建物を増改築したり、新築したりすることも、それが用法変更にならない限り、法律上は賃借人が自由にできます。
用法変更とは、木造建物を取り壊して鉄筋コンクリート造りのビルを建てるなど建物の種類、構造を変更することをいいます。
無断増改築禁止の特約がある場合に、借地法に反し無効であるとの考えもありますが、判例では、有効とする説が有力です。
また借地借家法では、増改築禁止の特約がある場合、土地の通常の利用上相当とすべき増改築について、賃貸人と賃借人間で協議がまとまらないときは、裁判所は、借地権者の申し立てによって、その増改築についての土地所有者または賃貸人の承諾に代わる許可を与えることができるとされています。
【借地権の譲渡】
<相談内容>
借地権の譲渡をしたいのですが、地主が承諾してくれません。
どうすればよいですか?
<返答>
借地権といわれる権利には、地上権と賃借権があります。
地上権とは、法律上物権として構成されていますので、これは譲渡するについても、所有者の承諾は必要ではなく、地上権者が自由にできます。
しかし、賃借権は債権であり、この賃借権を第三者に譲渡するには、賃貸人の承諾が必要で、この承諾を得ないで勝手に譲渡すると、賃貸人はこの無断譲渡を理由に土地賃貸借契約を解除することができます。
借地上の建物は、賃借人の持ち物である為、自由に譲渡できますが、法律的には、原則として建物を譲渡した場合には、当然に借地権の譲渡も含まれているものと考えられます。
ですので、借地上の建物を第三者に譲渡するためには、賃貸人の承諾を得なければなりません。
しかし、借地借家法では、賃貸人が借地上の建物の譲渡を承諾してくれない時は、賃借人が、裁判所に賃貸人の承諾に代わる許可の裁判を申し立てると、裁判所はこれを譲渡しても賃貸人に不利となるおそれがないと認めたときには、賃貸人の承諾に代わる許可を裁判所が与えてくれるとしています。
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