いじめた子の親の責任は?
【親の責任義務】
<相談内容>
学校で子供がいじめられ、登校拒否をしています。
加害者の親に謝罪を求めましたが、学校での出来事には責任をもてないと言われました。
学校でのいじめの責任を親に問うことはできないのですか?
<返答>
いじめによって子供が怪我をしてしまったような場合など、見過ごせない損害を被ってしまったときは、損害賠償請求をすることも必要です。
また、加害者の親や学校が誠意ある対応をしないなど、場合によっては裁判を起こすことによって事態の悪化を防がなければならないこともあります。
訴訟を起こす場合には、実際の加害者は責任能力がない小学生なので、相手方は監督義務者の親となります。
親は、子供が学校に行っている間は、親の監視の目が届かないから、学校での子供の行動には責任を持てないと考えているようですが、判例では「親権者は、その子たる児童が家庭内にいるのと学校内にいるのとを問わず、原則として子供の生活全般にわたってこれを保護監督すべきである」としています。
また、学校内での児童・生徒などの生命・身体の安全に万全を期すべき義務を学校は負っていますので、学校の責任も問うべきです。
【ペットの管理】
<相談内容>
隣家の庭へボールが入ったので、拾いにいったところ、放し飼いの犬に噛まれ怪我をしました。
よく、ボールを拾うために隣家に入ることをその家の主人は知っていたのに、犬を放し飼いにしていました。
この場合には、治療費の請求はできるのですか?
<返答>
往来を散歩させる時には、ロープにつないでおいて、他の人に危害が及ばないようにするのは当然ですが、自宅にいるときも、場合によってはつないでおく必要があります。
門や入り口に鍵をかけて、通常であれば容易に無断で人が入ってくることがあり得ないのであれば、犬を放し飼いにしていても問題はありません。
しかし、容易に入ることが出来る状態であったなら、犬を放し飼いにしていれば、人が入ってきた時に噛み付く可能性があることを認識していながら放置していたことになります。
これでは、十分な注意を払って犬を飼っていたとはいえず、噛まれた人に対して損害賠償責任を負う必要があります。
しかし、無断で入ってきたほうにも責任がありますから、多少の過失相殺がされることも考えられます。
【事務管理】
<相談内容>
駅で飛び降り自殺をしようとした人を体当たりして助け、転落をくいとめたのですが、頭を打って怪我をさせました。
その怪我に対して、その親から損害賠償請求されています。
支払わなければならないのでしょうか?
<返答>
このように誰かが飛び降りようとしている場合に、その人を助ける法的な義務はないと考えられます。
義務もないのに他人のために何かをすることを、民法上では事務管理といいます。
事務管理が成立した場合、本人の身体・名誉・財産に対する急迫の危害を回避させるためにとった行動が結果的に損害を発生させたとしても、それが故意または重大な過失によるものでない限り、損害賠償の責任を負わなくてもよいこととされています。
事務管理は原則として、本人の意思を推測できるときはその意思に従って処理しなければなりません。
しかし、自殺は公序良俗に反する行為と考えられているので、これを止めようとした行動は、本人の意思に反していても、事務管理に当たります。
ということで、損害賠償の責任はないということになります。
【高額な休業補償】
<相談内容>
自転車で、女性にぶつかり怪我をさせてしまいまい、その女性は入院することになりました。
治療費や休業補償を払うつもりでいるのですが、その女性はソープ嬢で1が月の給料は100万円といいます。
その額を支払わなければならないのでしょうか?
<返答>
不法行為により他人に損害を与えた場合には、その損害を賠償する義務があります。
入院することになると、治療費や慰謝料に加えて、働くことが出来ない期間について休業補償も必要になります。
休業補償の額は、普段得ている収入に相当する額とされています。
そのため、100万円を支払わなければなりません。
しかし、ソープ嬢の仕事は、一般的には公序良俗に反するものと考えられます。
このように公に認められない仕事については法的な保護を受けることができません。
しかし、休業補償をしなくてもよいわけではなく、同年齢の賃金相場により算出された休業補償を支払うことになります。
【正当防衛】
<相談内容>
酔っ払いに絡まれて、つかみかかられましたが、手を振りほどくと酔っ払いは、転んで足を骨折しました。
治療費と慰謝料を請求されているのですが、支払わなければなりませんか?
<返答>
民法では、「他人の不法行為に対し、自己または第三者の権利または法律上保護される利益を防御する為、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない」としています。
ということは、自己防衛本能による当然の行為として、社会通念上やむを得ない行為であり、不法行為は成立せず、損害賠償責任は生じないと考えられます。
正当防衛が成り立ちます。
ただし、問題となるのは、過剰防衛でなかったこということです。
これについては、加害者の行為とそれに対する被害者の行為を比較検討して決められることになります。
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