高額なタクシー料金を請求されたら?
【高額なタクシー料金】
<相談内容>
タクシーで家に帰ったのですが、疲れていて寝てしまい、家に着くとタクシー料金が、いつもの2倍でした。
この料金を取り返したいのですが、法的にどうでしょうか?
<返答>
まず、お客と運転手との間では、運送契約が結ばれたことになり、運転手は、合理的な経路で安全にお客を目的地まで運ぶ義務が発生します。
合理的な経路とは、可能な限り最短の距離に当たるといえます。
運転手が正当な理由なく遠回りして料金を吊り上げたなら、本当の料金を支払えば足ります。
しかし、問題はそのタクシーに乗っていた間、「寝ていた」ということになります。
起きていたのであれば、運転手が不当に遠回りをしようとしたとき、すぐに経路を戻させることができます。
また、運転手が仮にその指示に従わず、遠回りを続けていたなら当然支払いを拒否できます。
しかし、眠っていたため、運転手の裁量で迂回路(工事があったなどのための)をとることもやむを得なかったと考えられる為です。
となると、「適切な迂回路」か?が問題になりますよね。
これを証明するのは、難しいのではないでしょうか?
【つけの支払い】
<相談内容>
クラブで働いていますが、常連客の「つけ」の責任をホステスが支払わなければならないのですか?
<返答>
クラブやスナックでは、ホステスに常連客がつくとホステスの収入が上がる仕組みになっているのが一般的です。
そこで、店側はホステスに客のつけを保証させることはよくありますが、これは公序良俗に反する無効な取り決めになります。
客が飲食して優先して利益を上げるのは、店であるわけですから、代金回収の全面的責任をホステスだけに押し付けることは一方的であり、このような場合でつけの支払いがない場合には、原則として店がその責任を負います。
ホステスが責任を負わなければならない場合もあります。
◇客とホステスが深い中で、ホステスが客の財布からチップ等の支払いをすることがあった。
◇店はつけの上限を定めていたのに、特にホステスが保証を申出た為に、この上限を超えるつけを店が認めていた。
◇ホステスが客の飲食代の一定割合をバックマージンとして店から受け取っていた。
◇つけの一部をホステスが支払った為、店はホステスが保証する意思があるものと信じていた。
このような場合には、つけの支払義務が生じるとされています。
ちなみに、一般の債権の消滅時効は10年とされていますが、飲食代金の消滅時効は、1年とされています。
つけをためていた客が1年以上経ってから、店に来てもつけの請求はできません。
しかし、ホステスがつけを立て替えていた場合には、このつけは、一般債権になるので消滅時効は10年になります。
【飲食店で服を汚された】
<相談内容>
飲食店で、店員にしょうゆをこぼされ、スーツがしょうゆまみれになってしまいました。
店にスーツ代を請求できますか?
<返答>
仮に100%店員の過失であったとすると、使用人(店員)が過失によりお客に損害を与えてしまったので、使用者である店は民法で規定されている「使用者責任」を負います。
民法715条「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の執行について相当の注意をしたとき、または相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りではない」と規定されています。
この場合には、おそらく店の責任は免責されないと思われますので、店に対して損害賠償できます。
では、賠償額の範囲ですが、クリーニングで済むのであれば、クリーニング代が賠償額になりますが、クリーニングでとれない場合には、スーツ相当額の賠償を請求できます。
ただし、スーツ相当額とは、新品のスーツの値段ではなく、汚されたスーツの時価相当額になります。
判例では、「不法行為による物の滅失毀損に対する損害賠償の金額は、特段の事由のないかぎり、滅失毀損当時の交換価格により定べきである」とされています。
ということで、中古市場でのスーツの価額分の賠償になります。
【未成年者の法律行為】
<相談内容>
小学生の子供に月謝を渡したところ、そのお金を使っておもちゃを買ってきてしまいました。
親に無断でした買い物を取消すことはできませんか?
<返答>
民法では、「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない」「前項の規定に反する法律行為は、取消すことができる」と規定されています。
未成年者が法定代理人(親)の同意を得ずに売買契約などの法律行為をしたときは、本人または法定代理人がこれを取り消すことができます。
取消す場合には、そのおもちゃが開封されていても大丈夫で、消耗品でさえ、既に一部消費してしまっている場合には残っているものだけを返還すればよいことになっています。
ただし、法定代理人の同意のない、未成年者による法律行為であっても取消すことが出来ない場合があります。
◇未成年者が成人であると嘘をついて法律行為を行った場合
◇既に婚姻している未成年者が法律行為をおこなうような場合
などです。
また、民法では、「法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分する時も同様とする」と定められています。
特定の物を買う為にお金を渡してその物を買ってきた場合や、小遣いなど自由に使うことを許したお金で何かを買ってきたような場合も取消すことができません。
【錯誤ある売買】
<相談内容>
近所の電気屋で、新型のテレビが5000円で売られており、かなり安いので買ったのですが、後日そのテレビは50000円との事で残金を請求されたのですが、支払う必要があるのですか?
<返答>
売買契約は、売り手と買い手が価格などの条件に合意して成立します。
一度決まった売買の条件をいずれかが一方的に破棄することはできません。
ですので、本来このような売り手のミスは、売り手が責任を負うべきなのですが、あまりに著しい価格差となっている時には、正規の料金との差額を支払わなければならない場合もあります。
売り手がこんな値段で売るつもりではなかったと思っている場合には、売値の撤回が認められる場合があります。
法律行為の重要な部分に錯誤があるときは、その意思表示は無効であるとされています。
錯誤とは、思い違いなどから、意思と表示の間に不一致を生じ、それを表意者自身が知らない意思表示のことをいいます。
50000円で売るつもりの物に5000円の値札を張るという行為は、「法律行為の重要な部分の錯誤」であると考えられますが、店側は、注意していれば値札にも気がついたでしょうし、代金支払いの際にも気づいたはずです。
このような場合には、店側には重大な過失があったものと認められ、無効を主張できないとされています。
しかし、買い手が「売り手が5000円で売るつもりはない」ことを知っていたもしくは知ることが出来た場合には、「心裡留保」の問題が考えられ、5000円で売るとした意思表示は無効になり、店側に差額を支払わなければなりません。
心裡留保とは、表意者が表示行為と内心の効果意思との不一致を知りながら、故意にする意思表示をいいます。
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