胎児に相続権はあるのか?
【胎児の相続権】
<相談内容>
胎児には、相続権がないのですか?
<返答>
配偶者は、一方が死亡した時、残されたもう一方は、常に相続人になります。
この配偶者間に子がいる場合には、その子も常に相続人になります。
民法では、「私権の享有は、出生に始まる」としており、原則として出生前の胎児に権利能力は認められていません。
しかし、相続の権利については特別に民法により胎児も生まれたものとみなされます。
ただし、もし死産や流産した場合には、相続する権利は消滅してしまいます。
また、胎児が生まれてくる前に、遺産分割が終わってしまうと、生まれてから遺産分割をやり直すのは、困難になります。
このような場合には、家庭裁判所の遺産分割の差し止め請求の申立があります。
裁判所がその請求に十分な理由があると認めたときには、一定期間その遺産分割を禁止します。
仮に禁止命令に反して遺産分割を行なったとしても、それには効力が認められません。
【一人だけに相続させる遺言】
<相談内容>
相続人の一人だけに全財産を相続させる遺言は、有効なのですか?
<返答>
結論からいえば、この遺言は有効です。
ただし、民法では遺言の内容を決めるに当たって一定の制約を設けています。
「遺留分に関する規定に違反することができない」としており、本来相続人になる人に全く相続させなかったり、相続人が複数いる場合に特定の人にだけ相続させたりすることが出来ない場合があります。
一定の相続人に対して最低限の相続分を保証していて、これを「遺留分」といいます。
遺留分を受けることができる法定相続人は、
◇配偶者
◇直系卑属
◇直系尊属
になり、兄弟姉妹には遺留分はありません。
親も子もなく、妻と兄弟姉妹だけが自分の親族という場合には、「全財産を妻に・・」という遺言があれば兄弟は何も主張できないことになります。
【愛人への生前贈与・遺贈】
<相談内容>
夫が死亡直前に愛人へ生前贈与をしていました。
また、遺言で遺贈しています。
自分の相続分を取り返したいのですが?
<返答>
相続開始前1年以内の贈与分に限り、その価額を相続財産に加えることができ、これによって算出された遺留分が不足するときは生前贈与や遺贈を受けた不足分を返還(遺留分減殺)してもらうことができます。
要するに、相続開始前1年以内に、愛人に贈与したものであるであれば、その金額も相続財産に加えて、遺留分の計算が出来るわけです。
ただし、遺留分を受ける権利のある者は、その権利を主張することによって初めて遺留分が認められます。
また、この遺留分の減殺請求権は、「遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈があった事を知ったときから1年を経過すると消滅時効にかかり、それ以後は請求できなくなってしまいます。
また、これらの事実を知らなかったとしても、相続開始のときから10年を経過すると消滅時効にかかります。
また、遺留分について、相続放棄は被相続人の死亡後でなければできませんが、遺留分の放棄は被相続人の生前にもできます。
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