香典や弔慰金は相続になるのか
【香典・弔慰金は相続に】
<相談内容>
父が亡くなり、葬儀をし、そこで香典をもらい、また会社から弔慰金をもらいました。
他の相続人の中では、その香典も弔慰金も相続で分配するべきだ、と言っているのですが、そうなのですか?
<返答>
香典や弔慰金は、葬式費用や祭祀の費用に充てられるべきであって、遺産には含まれません。
相続人に分割請求権はなく、相続税も課されません。
香典について、一般的に葬式費用の一部となって遺族の負担を軽くするという扶け合いの精神に基づく生活上の慣行によるものですから、香典の受取人も、常識的には喪主と考えられます。
香典は、喪主を通してまず葬式費用にあて、残りは祭祀主宰者が祭祀の費用として取得するのが香典の性質に合うものといえます。
弔慰金は、勤務先の規程や法律によって、受け取るべき遺族が決められており、これも相続財産には含まれません。
弔慰金については、弔慰金という名目で会社から支給された場合、実質的には死亡退職金に該当するものとして、相続税の課税対象になることがあります。
【相続放棄と限定承認】
<相談内容>
父が亡くなったのですが、その後父の借金の債権者から毎日のように督促がきます。
親の残した借金も相続しなければなりませんか?
<返答>
民法では、遺産相続の開始と共に、被相続人の財産に属した一切の権利義務が、当然相続人に承認されるものとしています。
しかし、相続財産の中身が、積極財産よりも消極財産の方が多い場合には、相続人は負債を負わされることになります。
そこで、法律では相続放棄および限定承認の制度を設けています。
法律上相続人と定められた者も、必ず相続を承認しなければならない理由はなく、放棄する自由があるのです。
また、積極財産の限度において、消極財産を承継する限定承認も認められています。
相続放棄および限定承認の意思表示は、いずれも相続人が自己のために相続開始の事実を知った時から、3ヶ月以内に家庭裁判所に対して申述しなければなりません。
【保証債務】
<相談内容>
父が亡くなったのですが、生前、父はある人の債務の保証をしていました。
この場合、この保証人の地位も相続しなければならないのでしょうか?
<返答>
民法では、「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りではない。」と規定しています。
一身専属的な権利・義務以外のものは、全て相続人が相続することになっています。
被相続人の一身に専属する権利・義務とは、身分上の権利・義務がこれに当たるとされています。
保証債務がこの一身に専属する権利・義務にあたるかどうか、という問題ですが、保証債務も財産的なものとして、民法では相続されることになるとされています。
相続人は相続した以上、その保証債務を支払わなければなりません。
ただし、保証契約のうち、具体的な債務額の確定していない基本的身元保証や債務の責任限度額および保証期間を定めないでなした保証については、これらの債務が、相続人に予測のできない責任を生ずる可能性があることから、相続性を有しないとしています。
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