内縁の子の認知と親権者とは
【認知と親権者】
<相談内容>
父とは母は内縁関係で、その間に子がいます。
今までは、その子を父は認知していなかったのですが、母が亡くなってしまい親権者がいなくなりました。
父は子を認知して親権者になることはできますか?
<返答>
民法では、「父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めた時に限り、父がこれを行なう」とされています。
また、「未成年に対して親権を行うものがないとき」は後見が開始しますから、当然に父が親権者になるわけではありません。
亡くなった母の遺言で後見人が指定されていた時は、その人が後見人として、また、特に指定されていなかったときは、子の親族その他の利害関係人の請求によって、家庭裁判所が選任した人が、後見人として親権の内容として定められたことを行ないます。
この場合、父が子を認知することは、子と父と亡くなった母の間で、非嫡出子であるという身分が確定するだけで、当然に父が親権者になるわけではないのです。
また、子の氏も父の氏に変わるわけではありません。
ただ、父と子のそれぞれの戸籍の身分事項欄に認知の事実は記載されます。
これによって二人の間には、法律上の親子関係、相続、扶養等の権利義務が生じます。
認知した後で、父が親権者になる為には、家庭裁判所にその理由を明らかにして、「父を親権者とする審判」の申立が必要になります。
【児童虐待の防止】
<相談内容>
親が子供を虐待するということをよく聞きますが、このような場合に子供を保護する法律はありますか?
<返答>
平成12年11月20日から、「児童虐待の防止等に関する法律」が施行されています。
この法律の主な内容は、児童を18歳未満とした上で、虐待の定義を記しています。
◇児童の身体に外傷が生じまたは生じるおそれのある暴行を加えること
◇児童にわいせつな行為をすることまたは児童に対してわいせつな行為をさせること
◇児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食または長時間の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること
◇児童に著しい心理的外傷を与える言動を行なうこと
となっています。
これは、学校の教職員・医師・保健婦・児童福祉施設職員などの職務上児童の福祉に関係する者は、児童虐待を早期に発見するよう努めなければならないとし、児童虐待を発見した者は福祉事務所または児童相談所に通告しなければならないと規定しています。
また、通告を受けた児童相談所などは警察に援助要請をするように義務付けられています。
【親子間の利益相反行為】
<相談内容>
未成年の子がある夫婦の夫が亡くなりました。
子の相続に関して、親権者として相続財産を処分できるのですか?
<返答>
民法では、「親権を行なう父または母とその子と利益を相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない」と規定しています。
普通、母が子供の法定代理人(親権者)として、子供のために相続財産などの処分をすればよいのに、母と子の間で利益が相反するために、この両者に特に利害関係のない、公平な第三者に特別代理人になってもらい、処分に関して協議し合意することになります。
もし子のために特別代理人を選任せずに、母親が勝手に子供の代理人として協議したことにして処分することは、無権代理行為となり無効になります。
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